新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、単なる短期的な病気ではありません。患者を衰弱させる身体症状や精神症状が、感染の数カ月後まで、場合によっては数年後まで続く可能性があります。以下では、新型コロナウイルス感染症の後遺症について、これまでにわかっていることをまとめたものです。
初期調査の大多数は入院患者だけを対象としており、現在でもまだ明確な診断基準は定まっていませんが、複数の研究から、新型コロナウイルス感染症の患者のおよそ30%程度は症状が中々消えず、長く後遺症に苦しむことが示唆されています。
患者が訴える症状は幅広くあり、最初の感染から消えるまでに数カ月かかることもあります。症状の例としては、疲労感、継続的な呼吸器系の問題、嗅覚と味覚の喪失、ブレインフォグ(頭がぼうっとする状態)、記憶障害、頭痛、筋肉痛、うつ状態、線維筋痛症(強い筋肉痛、関節痛)などが挙げられています。
後遺症のリスクが最も高いのは、どのような人なのでしょうか?感染時の重症度とは関係がないことが分かっています。そしてリスクは男性、肥満、歯槽膿漏とう三大要因であることがわかっています。
新型コロナ後遺症の病態に最も近い病気は、おそらく慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎とも呼ばれる)だろうといわれています。慢性疲労症候群は数十年にわたって続く場合もあります。
慢性疲労症候群と同様に、新型コロナ後遺症に悩む人に対しては有効な薬物療法は存在していません。
新型コロナ後遺症については、その原因をはじめ、わかっていないことが多くあります。疫学者でロンドン大学クイーンメアリー校の上級講師を務めるディープティ・グルダサニ博士は、フォーブスにそう話しています。感染後に残っているウイルスの影響や炎症の影響が続いているとも考えられるし、体が自己免疫反応を起こしている可能性もあるとディープティ・グルダサニ博士は説明しています。生物学的に言えば、新型コロナ後遺症は複数の障害の集合体である可能性もあるといわれています。、